言葉は大事。

「言葉は大事」とよく聞きます。
当たり前のように使っていると、大事さを忘れてしまいませんか?
使っている側と伝わった側で意味が食い違うこともあります。

ここでは事例を紹介しながら、言葉の奥深さが自然と伝わる一冊を紹介します。

ありがたい言葉のすれ違い

親しくさせていただいている方から、
年の瀬の挨拶の中で、こんな言葉をかけられました。

「あなたのチカラの大きさに、正直、怖さを感じることが多かった」

一瞬、胸がきゅっとなりました。

男兄弟の中で育った私(女です)は、
知らず知らずのうちに気の強さが前に出てしまったのかもしれない。

そう思い、素直にこうお伝えしました。

「怖い思いをさせてしまって、ごめんなさい」

すると返ってきた言葉は、
私の想像とはまったく違うものでした。

それは「否定」ではなく、
私のチカラに対する、
良い意味での怖さだったのだそうです。

『誤解させてしまって、こちらこそごめんなさい』
と、優しいその方から、今度は私が謝られることとなりました。

なんと……。

敬意を表したつもりの言葉だったのです。

同じ言葉でも、
受け取り方ひとつで、
意味がここまで変わってしまうと想像できませんでした。

私自身、自分のことをすごいと思っていないので、そこまで敬意を持ってくださっていたことに驚きました。

相手の「想い」を察すると見えてくる

その方は、なぜ「怖さ」という表現を選んだのだろう?

年末年始、ふと考えていて、
ひとつの気づきに辿り着きました。

謙遜するときに使う
「恐れ多い」
「恐れ入ります」
という表現がありますよね。

これらの言葉に含まれる「恐れ」の文字。

謙譲語としての「恐れ」が、
「怖れ」となり、
「怖さ」という表現になったのではないか。

そんなふうに想像したのです。

ちなみに「恐れ入ります」は、もともと
「畏れ入ります」。

「恐れ多い」も、本来は
「畏れ多い」だったそうです。

「畏」という字が示す通り、
偉大なものに対する畏怖(いふ)の念
が根底にあるようです。

日本は、相手の意図を察する文化です。

けれど、言葉の選び方を少し間違えるだけで、
話し手と受け手のあいだに、
意図しない文脈が生まれてしまうのですね。

言葉の深さを味わう

ちょっとした、言葉の選び方や使い方で
伝わり方が変わってしまうのは
「怖さ」でもありますね。

そんな日本語の奥深さを、
とても丁寧に、そして新鮮に、
物語として描いている一冊があります。

それが、光文社文庫の三浦しをん作
舟を編む。』です。

NHKでドラマ化もされていたそうなので、
ご存知の方も多いかもしれませんね。

私はテレビを見ないので、
小説で初めて知りました。

ちょうど調べていると
テレビドラマのPR動画の中に、
こんなセリフがありました。

“悪いのは言葉ではありません。
選び方と使い方です。”

NHKスクエア【公式】「舟を編む~私、辞書つくります~」PR動画より

まさに、今回の出来事そのものだと感じました。

2026年は、より一層、
言葉を選ぶことを大切にする一年にしたい。

そう思った一年の始まりです。

皆様は何を大切に一年を過ごしますか?